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BCCでお勉強 日本のランドナーの系譜

元々日本のスポーツサイクリングは、イギリスの「クラブラン」
という複数のメンバーによる集団サイクリングが、その始まりと
なります。しかし、日本はイギリスのような平坦な地形では無く、
山や谷など坂が多く、平坦な地形を高速で走る事を目的とした、
クラブラン用の自転車では走る範囲が限られている為に、あまり
普及はしませんでした。

そんな中で、アルプスをその国土に持つフランスでは、長距離を
決められた時間内に走る「ブルペ」というサイクリングイベント
の為の自転車が生まれます。このスタイルで走る自転車の形式
が「ランドヌール」と呼ばれる自転車の車種で現在の日本でいう
「スポルティーフ」というタイプの自転車に、よく似た自転車と
なります。そして、その自転車をオーダーメイドで製作する有名
なビルダー、ルネ・エルスの「ランドヌール」を初めて日本へと、
持ち帰ったのが鳥山新一氏で、1954年の事でした。

その時の詳しい様子は、「ニューサイクリング」誌の前身である
「サイクリング」誌 NO104号 に掲載されているそうです。
鳥山新一氏は、当時「丸都自転車」にいた打保梅治氏に持ち込み、
打保梅治氏と共に分解研究をしたそうです。その後、丸都自転車
を退社した打保梅治氏によって、設立をされた「東叡社」で製作
されたのが、日本のランドナーの土台となったといわれています。
やがて、日本のランドナーは戦後の好景気により、所得が増えて
余暇を楽しむ若者を中心に、スキーや山登りと同様に自然の中で
のスポーツとしてのサイクリングの機材として、このランドナー
が一大ブームを呼びます。

当時は、長距離を限られた時間で走る「ブルペ」という形態より
も、自転車での小旅行や自然の中をのんびりと走るサイクリング
や、未舗装の林道や峠を越える為の自転車が望まれたようです。
そして、「ランドヌール」というブルベタイプでは無い小旅行用
の自転車、「シクロツーリズム」というタイプの自転車が、日本
人のサイクリング事情に最も適した自転車と、なったそうです。
なので、ランドナーと呼ばれる旅行用自転車は、日本てだけしか、
通じない言葉のようです。

その和製ランドナーである「シクロツーリズム」をルネ・エルスで
オーダーして、当時人気の自転車専門誌「ニューサイクリング」に
紹介したのが沼勉氏、1967年の事だそうです。
そして、この「シクロツーリズム」が今のロードバイク人気の中で、
細々とではありますが、現在まで根強いファンがいる日本のランド
ナーの原型となっているんだそうです。

さて例によって例の如く、こういう時はBCCで、さらに詳しく
お勉強をしようと思います。

BCC ランドナーの系譜
今日はなんちゃってゼウス、ここBCCにはヴィンテージバイク
が似合います。

BCC ランドナーの系譜
折しも、「ツアー・オブ・ジャパン」の展示がされています。

展示されている自転車は、昔のランドナーオーダーバイク。

BCC ランドナーの系譜

BCC ランドナーの系譜
片倉の「スピードマスター」、今のシルクですね。

BCC ランドナーの系譜

BCC ランドナーの系譜
そして、ブリジストンの「ロードマン」、オーダーの自転車です。

まず、今まで見た事も聞いた事も無い「サイクリング」誌を見て
みます。しかし、係りの方に伺うと、肝心の「サイクリング」誌
NO104号 がありません。置いてあるのは1956年の1月号
だけです。
鳥山新一氏の紹介した記事を読みたかったのですが、残念です。
でも、その一冊しかない「サイクリング」誌とはどんな雑誌なの
か気になります。なので、お願いして閲覧させて頂きました。

その「サイクリング」誌、新書版より少し大きいサイズで、非常
に薄い雑誌です。ページ数は、32ページしかありません。

そして、読んでみてわかった事、
・日本サイクリング協会が発足したのが1954年という事。
 奇しくも、前述の鳥山新一氏が「シクロツーリズム」を日本に
 紹介した年となります。
・今も当時も自転車乗りは、日曜毎、休みの度々に子供達の不平
 とかみさんの呆れたような顔をほったらかし出掛けていた事。
・ノイローゼには過激では無いスポーツがよく、サイクリングが
 最適で、サイクリストにノイローゼに悩んでいる人はいない。
 脳天気な亀には、よく分かります。
・当時からサイクリング傷害保険はあり、日本サイクリング協会
 会員だと団体扱いとなり、1,000名以上の団体で保険金10万円
 に対して年間の契約金は450円程度であった事。
・当時から「ビワイチ」はあった事。
・当時の携帯食は、蜂蜜とチーズと食パンだった事。
・当時、国産のフロントディレーラーは、三光製しかなかった事。

因みに、この「サイクリング」誌、発行は日本サイクリング協会
で、昭和30年度自転車振興事業の一貫で発刊されたそうです。

たった32ページですが、初めて知った事が七つも有りました。

では次は、沼勉氏のルネ・エルスが紹介されてる1967年発行
の「ニューサイクリング」誌のバックナンバーを拝見します。
こちらは、完璧に保存されているので、多分見つかるはずです。

で、BCCのスタッフの方に、地下の書庫から持ってきて頂いた
1967年の「ニューサイクリング」誌のバックナンバーを見て
みましたが、沼勉氏のルネ・エルスの事は掲載されていません。
あれ~と考える事しばし、思い至ったのが1968年の「ニュー
サイクリング」誌を見てみる事でした。
沼勉氏がフランスまで行って、ルネ・エルスで自転車をオーダー
したランドナーの事を「ニューサイクリング」誌に紹介したのが、
1967年だと、どこかのホームページに書いてあったような、
記憶だったのですが、ひょっとしたら、1967年にフランスに
行って、ルネ・エルスをオーダーしたと書いてあったのを、見間
違えたのかも知れません。
もし、そうであるならば、1967年の「ニューサイクリング」
誌で紹介されたのでは無く、沼勉氏が帰国してから記事を書いた
時間差を考えると、翌年の1968年の「ニューサイクリング」
誌に掲載されているかも知れません。

で、また、BCCのスタッフの方にお手数をお掛けしますが、
地下の書庫から1968年の「ニューサイクリング」誌を出して
頂きます。そして、1968年の「ニューサイクリング」誌を、
見てみると、果たして沼勉氏の記事が掲載されていました。
当時は、スマホもファクシミリも無い時代ですから、翌年に掲載
されていてもおかしくはありません。今でさえ、亀もブログで、
半年も一年も前のネタを、忘れた頃にアップする事があります
から・・・

で、その沼勉氏のレポート、フランスだけでは無く、ヨーロッパ
各国の自転車事情が書かれています。タイトルも「ヨーロッパの
おみやげ」というタイトルで連載されています。

さて、その中で肝心のルネ・エルスについては、その年の最後の
発刊号である12月に掲載されています。沼勉氏、引っ張ります。

で、タイトルは「パリの宝石ルネ・ルス」いいね~。

ここにはルネ・エルスとの最初の出逢い、鳥山氏のルネ・エルス
が紹介されたのが、1962年の「サイクリング」誌104号で
ある事から始まり、ルネ・エルスの素晴らしさ、旅行用自転車の
あるべき姿、自転車の各コンポーネンツの基本等々が、微に入り
際に入り、書かれています。
釣りで言うと「釣魚大全」、仏教で言うと「般若心経」みたいな
ものです。そして、今のランドナーの基本がここには書かれてい
ます。

そして、前述の鳥山氏のルネ・エルスが紹介されたのが1954
年というのは誤りで、1962年のようです。
これに関しては、ここBCCにも「サイクリング」誌は1956
年発刊の一冊しか無いので、その詳しい内容について残念ながら
分かりません。

が、今のランドナーの基本となる沼勉氏のルネ・エルスについて
は、「ニューサイクリング」誌の1968年12月号に掲載され
ていて、BCCでそのバックナンバーを閲覧する事が出来ます。
その「ニューサイクリング」誌の1968年12月号に書かれて
いる詳しい内容は割愛しますが、ランドナーに乗られる方には、
ぜひとも、BCCへと足を運んで、「ニューサイクリング」誌の
バックナンバーにに目を通す読む事をお勧めします。
そして、この「パリの宝石ルネ・ルス」を読んでみて下さい。
詳しく丁寧に書かれた、上質の自転車に関する読物であり、名文
であります。





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テーマ : 自転車
ジャンル : 趣味・実用

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こんばんは
BCCでの勉強お疲れさまです
ランドナーについてですが、僕の聞きかじりの知識では、フランスのランドナーはフルベ等の快走志向であり、日本に来てから低スピード志向になったと思っています
この見解は合っていますか?

No title

★ INTER8さん
こんにちは。

本文にも書きましたが、

・・・「ブルペ」というサイクリングイベントの為の自転車が生まれます。このスタイルで走る自転車の形式が「シクロツーリズム」と呼ばれる自転車で、現在の日本でいう「スポルティーフ」というタイプの自転車に、よく似た自転車となります。そして、その自転車をオーダーメイドで製作する有名なビルダー、ルネ・エルスの「シクロツーリズム」を初めて日本に持ち帰ったのが鳥山新一氏で、1954年の事でした。・・・

・・・当時「丸都自転車」にいた打保梅治氏に持ち込み、打保梅治氏と共に分解研究をしたそうです。その後、丸都自転車を退社した打保梅治氏によって、設立をされた「東叡社」で製作されたのが、日本のランドナーの土台となったといわれています。・・・

・・・長距離を限られた時間で走る「ブルペ」という形態よりも、自転車での小旅行や自然の中をのんびりと走るサイクリングや、未舗装の林道や峠を越える為の自転車が望まれたようです。
との事です。・・・

INTER8さんの見識で間違えないようです。

で、その肝心の鳥山氏のシクロツーリズムがどんなものだったか知りたかったのですが、「サイクリング」誌NO104号が、BCCに置いてありませんでした。
どこかで閲覧出来るといいんですけどね。

No title

INTER8さん

補足です。

正確には、フランスのランドナーはブルベ等の快走志向ではないそうです。
フランスのランドナーは、「ランドヌール」と呼ばれ、ブルペ用は、「シクロツーリズム」と呼ばれるそうです。
そして、日本のランドナーの土台になったのはブルペ用の「シクロツーリズム」で、今のスポルティーフに似た形の自転車だったそうです。そして、本来の小旅行用の「ランドヌール」が、そののちに、日本で改良された日本のランドナーに一番近い、いわばフランスのランドナーだそうです。

ややこしいですね。

No title

自分のランドナーがまさに「ランドヌール」で、見かける日本のランドナーに比べてタイヤも太く多少の荒れた路面もなんなく乗りこなせる自転車です。

乗っている感触も快速で走るというより、鈍行列車に乗って車窓の風景をのんびり眺める、というものに近く、走行時間のわりに距離は伸びないのですが、一緒に過ごす時間が濃密なせいで、乗っていて楽しい自転車です。

補足説明を見てストンと胸に落ちるものがありました。

No title

こんばんは。
たびたびですみません。
僕が聞きかじった(読みかじった)のは確かサイスポの特集記事だったと思います。去年(?)くらいのサイスポだったでしょうか。買わなかったので記憶が曖昧になっていますが。それを見てかつてのフランスのランドナーは日本と違って快走志向だったんだと感じた次第です。
また、下記のサイトにあるルブールのイラストでは、ランドヌーズはスポルティーフに属するように見てとれます。
ややこしいです (>_<)
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/000661.html
http://www.cycleshop203.net/koneta/koneta/reneherse.html

No title

★ さくらなみきさん
おはようございます。

日本のランドナー、ややこしいですね。
鳥山先生も最初からランドヌールを紹介すれば良かったのにね。
でも、この方、イギリスのクラブランの流れを組むスポーツサイクルの研究をされていた方なので、その後の日本ののんびりサイクリングが流行るとは思ってもいなかったんでしょうね。
(これ、亀の勝手な想像ですが・・・)

★ INTER8さん
おはようございます。

情報ありがとうございます。
図の自転車、クランク周りがまさにルネ・エルスですね。
ただ、1970年のイラストなので、鳥山先生が紹介したシクロツーリズムとは違うようです。1950年代のリアディレーラーは、多分たけのこ型だと思うので・・・
鳥山先生のシクロツーリズム、どこかに現存していないですかね。ぜひ、見てみたいです。

記述の訂正

以前のブログ読み返して、記述の間違いがあり、本文を訂正いたました。

整理すると、
ルネ・エルスの「ランドヌール」は、今で言うブルベ用で、「シクロツーリズム」が旅行用自転車になります。
最初に日本に紹介された「ランドヌール」が当時の日本で流行った自転車旅行に合う自転車として、人気を得たので、「ランドナー」と呼ばれるようになったそうです。
しかし、フランスの旅行用自転車である「シクロツーリズム」は後になって日本に紹介されたので、名前はそのままとなり、日本でしか通じない「ランドナー」となったそうです。
そして、現在の「ランドナー」の仕様は、「シクロツーリズム」に準じているそうです。

当時、コメントを頂いた皆様に混乱をさせてしまった事をお詫び致します。
プロフィール

亀次郎 kamejirou 1958

Author:亀次郎 kamejirou 1958
リタイア後の時間をどのように
有意義に過ごすか?
考えた末の答え、
それが、昔憧れたランドナーと
ロードバイクによる
「自転車乗り」です。

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